美苦尼・玄娘〜恥辱の西遊記 第103話

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見ると黄風大王は、いかにも恐ろしげな容姿をしていた。
玄娘の優に倍はありそうな体躯、玄娘の胴周りほどもありそうな、太い腕。
顔も肩も全身黒い毛に覆われ、犬か狐のように口が突き出ていて、鋭い犬歯を覗かせている。
はぁはぁ荒い息とともに、止め処なく涎が糸を引いて垂れ落ちていた。
玄娘はチラリと一瞥しただけで、ぞっと恐ろしさが込み上げてきて、それ以上見る事が出来なかった。

「王の奴が言ってた尼さんを掴まえて参りました」

頭(こうべ)を垂れ、虎先鋒が跪(ひざまず)いて報告する。

玄娘は虚を突かれてハッと隣の虎先鋒を見た。

王の奴・・・ですって?

思い至る人物は一人しかいない。
やはり悟空の言っていた通り、王は裏のある人物だったのだ。
いや、裏がある所ではない。
妖怪たちと結託し、自分たちの事を妖怪たちにわざわざご注進していたというわけだ。

後悔と共に、悟空が「自分たちが風呂に入っている間に王がどこかに出掛けていた」と言っていた言葉を思い出す。

「な、なに。それでは、この女が唐から来たという・・・か、顔を見せてみろ」

女たちに淫らな奉仕を強いている妖怪の王が、ぎらついた欲望そのままのいやらしい視線を、玄娘の身体に纏わり付かせてくる。

虎先鋒が玄娘の顎を持って前に向かせた。

再び恐ろしい姿が玄娘の目に映った。
全身毛ムクジャラだがよく見れば、筋肉の浮いた腹部から下は、だんだん毛が薄くなっている。
それで玄娘は、黄風大王が下半身に何も穿いていない事にハタと気付き

「ひっ」

吐き出しかけた息を更に吸い込んで小さく悲鳴を漏らした。

黒い毛にほとんど全身を覆われてたのでそれまで気付かなかったが、皮製の胸当てや篭手(こて)などで上半身を多少覆っているだけで、その妖怪はハレンチにもほとんど裸同然の格好でいた。
幸いにも、股間に蹲(うずくま)った女たちの頭で、舌で舐められているのであろうグロテスクな器官は目に入らなかったが、ぴちょぴちょと音高く響く汁音が、よけいな想像を掻き立てた。

「おおお、すばらしい上玉ではないか。こんな美味そうな身体しとるくせになんと神々しい顔じゃ。五色の瑞気が立ち昇っておるわ。この取り澄ました顔が屈辱に喘ぐ様が、今から楽しみじゃのう」

半ば声が震えるほど欲情を露わにしながら、黄風大王はいやらしい言葉で玄娘を嬲るように言った。

「王の言っておった通り、猿と豚の妖怪に守られていましたが、うまく出し抜いて参りました。ただ、なかなかのお転婆で、逃げようとして暴れた為、服もボロボロに破れてしまいましたが、何とか紐で括って連れ帰って参りました次第です」

虎先鋒の報告を聞き、黄風大王の表情が途端に険しいものになった。

「ちょっと待て。出し抜いてきただと? それでは奴等をやっつけたわけではないのか?」

「御意にござります」
虎先鋒が黄風大王のその表情の変化を全く意に解さぬ慇懃な様子で答える。

「こ、この、馬鹿野郎!うまく出し抜けたと言ったって、殺してこなければ、後顧の憂いが絶てぬではないか。いずれこの洞も見つかってしまうに違いないぞ」

「これはしたり。黄風大王様ともあろうお方が、何を恐れておられるのか」

「戯(たわ)けめ。奴等がどういう輩(やから)か、お主は知らぬのか?」

「どういう輩なんです?」

「そ、それは・・・猿の化け物と豚の化け物でろう」

黄風大王が途端に言い淀みながら答える。

「・・・何をおっしゃりたいのか良くわかりませんが、ちょっとばかり拙者が手合わせしたところでは、大王様がお気に病むほどの大した輩ではござりません。が、そういう事でしたら、奴等が二度とここら辺りをうろつけないよう、ちょっと行って叩いて参りましょう」

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