美苦尼・玄娘〜恥辱の西遊記 第123話
「ほらほら。こんなにグチョグチョにさせて、いつまで澄ましてるつもりだ? そんなイヤがってる風を取り繕(つくろ)ったってなあ、身体がビクビクしてるんで、お前が感じてるのは丸分かりなんだよ。この変態の雌尼が」
心の中の無意識に根付く抵抗の気持ちに、王の言葉が楔となって打ち込まれた。
仏弟子はまず己の本心を見通していなくてはならない。
自分自身を知る事が、人を知る事であり、仏の教える所でもあり、修行の基本でもあり結論でもあり、以って衆生を救う事にも繋がる。
それを、心の中の欺瞞を、王のような下劣な輩に見抜かれていた事が、玄娘の矜持を傷付け、玄娘を堪え難い恥辱に突き落とした。
何を自分は否定していたのかと思う。
ぐちゅぐちゅと淫らな音が響いているのを聞かされるまでもなく、肛門に指を二本も入れられ、同時に女芯にも親指を挿入され、内側から膣と直腸を隔てる肉をグリグリ捏ね繰り回される感触に、自分の身体はこんなにも気持ち良くなってしまっているではないか。
しかし改めてその事を自覚すると、玄娘はまた新たな衝撃に脳髄を打ち叩かれた。
全く王の言う通りだ。
仏弟子だの何だのと言いながら、現実はなんと薄汚い肉欲の塊である事か。
こんないやらしい身体の自分が、王に何を言えよう。
己自身を否定する声に、玄娘は徐々に屈服させられていく。
そこに追い討ちを掛けるように、王が声を掛けてきた。
「そら。気持ち良いですと言ってみろ。『お尻とオマンコに指を入れてもらって、王様のチンポで擦ってもらうのが凄く良いです』って言ってみろって。そしたらもっと気持ち良くなれるぞ」
王の放った言葉が、玄娘の脳裏に反響して響く。
口にするのを想像するだけで、身体が燃え上がるような言葉だった。
恥ずかしくてとても口に出来ない。
だが、その恥ずかしい事が、事実なのだ。
事実は受入れなくてはならない。
一旦そう思うと、それを口にする事が、修行の一環となるような気すらしてきた。
「き、きもち・・・」
心を決めて、口を開く。
が、心が決まった途端、身体が先に反応して、ビクビクビクッと背筋を通る神経が激しく波打ち出した。
理性に押し込められて溜め込まれていた快感のフラストレーションが、玄娘自身、その事を認めた事で、一気に噴出してきたのだろう。
“気持ち良い”所ではない。
もう、“イク!”と思った。
とても言葉を続ける事など、出来やしない。
ところが、その寸前で、絶頂に駆け上る快感を断ち切る、激しい痛みが右の乳首を襲った。
「いいっ!」
痛みで、絶頂が遠のく。
それは女の手、慧姑の細い指だった。
乳首をギュゥっと摘み上げ、捻(ひね)り上げている。
「け、慧姑さん・・・」
玄娘は顔を仰向かせて慧姑の表情を見上げた。
慧姑は淫らに腰を使い、王の亀頭を出し入れする浅ましい喜悦に酔っている。
その表情からは、とてもそんな事をしたようには見えなかった。
王も、まさか慧姑がそんな事をしたとは思わなかったろう。
実際、玄娘が痛みに顔を歪めたのも、王には堪え難い快感に呻き声を上げたようにしか見えなかった。
乳首を捻っていた指は、今はタプタプと玄娘の胸を揉み、王の亀頭を気持ち良く摩(さす)るように動かしている。
玄娘がイッたら、玄娘は王と結婚する事になるのだ。
慧姑がそれを阻止するには、玄娘より先に王をイカさねばならない。
玄娘がイキかけているのを覚(さと)って、慧姑が咄嗟に玄娘の乳首をつねったのは明らかだった。