美苦尼・玄娘〜恥辱の西遊記 第108話

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「それはとてもムリです。僧正様」

女は玄娘の衣服を整えながら、玄娘と目を合わせないようにしているみたいに、伏目がちになって答えた。

「あの者たちの報復が恐ろしいのなら、大丈夫です。私の伴の者は、とてつもなく強いですし、諸仏諸菩薩様のご加護で私もここまで来たのです。ですから、あなたたちさえ勇気を奮い起こして私と一緒にここから逃げ出してくれたなら、きっと・・・」

掻き口説こうと言葉を繋げる玄娘を、髪を梳いていた別の女が遮(さえぎ)って答えた。

「いいえ。そういう事ではないのです」

「私たちはみんな、ここに連れてこられてから一人づつ、順繰りであなたのお召しになられているこの衣装を着せられ、大王様のあのトウモロコシのようなおチンコ様で何日も夜通し犯され抜きました」

「大王様の責めは、凄いんです。激しくはないけど・・・激しくないのに、何回も失神させられて・・失神から覚めてもまだ責めが続いてて・・・はあぁ」

一人の女が、その時の事を思い出して頬を上気させ、胸を押さえて切なげに吐息を付く。

「何度も何度も身体の中に精を注ぎ込まれて、それが、私たちが孕むまで続くんです」

「はらむ?」

「赤ちゃんです」

玄娘は頭を殴られたようなショックを受けた。

もちろんその話は、聞いて知っていたはずだ。
妖怪たちは比丘尼を孕まして、その赤子を食べるのである。
だが、それを、その陵辱を受けた本人の口から聞くと、酷(ひど)く生々しい感じがして、その衝撃は大きかった。

「大王様に一度孕ませられると、衣装を剥がれて、今私たちが着ている服に着替えさせられます。それで、他の手下の妖怪たちの慰み者になるんですけど、時々大王様にも犯してもらえる時があるんです」

上気した女は、夢見るような口調で語っていた。

「時に大王様お一人にネチネチと責められ、時に数匹の妖怪たちに囲まれて一度に何本ものおチンコ様にご奉仕させられて、連日連夜ほとんど休みなく責め抜かれてきました」

「心は逃げたくても、私たちの身体は、もう・・・あのおチンコ様がなくては、生きていけない身体にされてしまっているのです」

「しかし・・・」

「僧正様もいずれ知るでしょう。身体にあの刻印を押された者の苦しみを」

そうまで言われると、玄娘も口を噤(つぐ)むしかない。

霊吉(れいきつ)菩薩の衣装は、着てみると生地が異様に軽くて薄くて、肌は胸元まで露(あらわ)だし、裾は足元まであるが、薄く透けて毛の薄い股間の翳りまでが見えてしまいそうで、有難い菩薩様の格好だというのに、玄娘は堪らなく恥ずかしかった。
否、何が有難い事があろう。
ナリは霊吉菩薩の衣装だが、それは女体を殊更に挑発的に見せるようにアレンジしてあるような代物だった。
むしろこれでは、菩薩に対する侮辱に等しい。

しかし玄娘はまた同時に、このような艶っぽい格好をさせられる事に、妖しいときめきも感じていた。
考えてみれば生まれてこの方、女らしい華やかな格好などした事もない。
それは、玄娘が生まれて初めて着る女の着物だったのだ。
思わず悟空を思い出し、自分の置かれている境遇も一瞬忘れ、この華やかな姿を悟空にも見てもらいたいなどとすら思ってしまう。

しかし裏庭に連れてこられると、その淡い思いも朝の露の如く儚(はかな)く費(つい)えた。

天に向って立てれば、自分の天頂より高くなる長肉竿を構えた太っちょの王が、醜い欲望を滾(たぎ)らせ、己が竿を恥ずかしげもなく撫で摩(さす)り、玄娘遅しと待ち構えていたのだ。

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