美苦尼・玄娘〜恥辱の西遊記 第77話
しばらく前に時間を戻そう。
悟空が玄娘の寝乱れる姿に欲情しているその時、慧姑を下から突き上げていた王は、ハタとその動きを止めて、慧姑を焦らしに掛かっていた。
刺激を求めてむずがる膣壁にざわめきばかりを残して、愛しい男根がぬっぽり抜ける。
慧姑はそれこそ涙を零(こぼ)して懇願したが、王は聞き入れなかった。
周りの女達に命じて、陵辱の刑架台から慧姑を開放させ、囁く。
「隣の部屋の尼さんを連れてこい。いい具合に身体がほぐれて、今が食べ頃だ。この機会を逃すわけにはいくまいよ。お前はあの尼さんの後にたっぷり可愛がってやるから。さあ、こっちはあのお猿さんがいるから、内の方の廊下から回って行くがいい」
そうは言われても、身体はガクガクと震えて、思う通りに動かない。
それでも愛しい主の命令ならばと、ジクジク疼いて肥大したようにすら感じる股間の器官を抱えたまま、這うような格好で廊下に出た。
しかし悟空のいない廊下と言えば、八戒が頑張っている所だ。
出てきた所をたちまち捉えられてしまった。
大きな手が小さな顔を覆うように口を塞ぎ、身体ごと壁に押し付ける。
物音一つたてない見事な早技に、慧姑は何事が我が身に起こったとも気付かなかった。
豚男のおぞましい圧迫感が、首筋にその分厚い唇を押し付けてくるまで。
ぬめり
(ひぃ、ひいいぃぃっっ!)
慧姑は魂消て声を絞ったが、全て豚男の分厚い手に吸収されてしまって、外に漏れなかった。
外に漏れない自分の声は、内耳感覚でのみ捉えられる。
その内耳感覚に、自分の声以外の声が侵入してきた。
《お師匠様を臥所(ふしど)に呼び寄せようだって? さすが妖怪の裏を掻いて女を囲うだけあって、いい根性してるな》
八戒の声である。
肌に密着させた唇を震わせ、身体を通して内耳に直接語りかける『内身耳法』という術だが、それを首筋の性感帯に施す辺りは、さすが八戒というべきであろう。
(うぅ、ふ・・ふはっ・・・)
燃え上がったまま放って置かれていた慧姑の神経は、震える唇の振動に敏感に反応してビクビクと小さく跳ねた。
(やめ、やめてっ・・く・・・んんッ)
慧姑の口を覆う手とは反対の方の手で、豚男が身体を弄(まさぐ)ってきた。
慧姑は服を着ていない。
真夏の事とて、服を着ていなくても肌はじっとり汗ばんでいた。
八戒もまた同様である。
汗と、饐(す)えた体臭が絡み合う。
ただでも剥き出しの皮膚を好きでもない男に弄(まさぐ)られるなど、まるで神経を直接撫でられるような気色の悪さなのに、その上そんなぬるぬるした身体を擦り合わせてこられては、あまりの気色の悪さに気が触れそうな気さえしてくる。
それでもその気色の悪さは、満たされなかった淫らな思いに触れると、次々に恥ずかしい喜悦の痺れに置き換えられていった。
そして気色の悪さが、そのまま後ろめたい快美感となっていくのだ。
それが、堪らなく、嫌だ。
違和感のある不躾な感触が、乳輪の形を辿ってクルクルと乳首の周りを嬲る。
(ふっ・・・んん・・あン、あ・・・こ、これ以上したら、し、舌を噛みますっ・・)
顎に力を入れた。
しかし豚男の手に押さえられているので、顎も思うようには動かない。
《ふんっ、変態女の癖に健気な事だな。そんなにワシに触られるのが嫌かね。だが、お師匠様に手を出そうとした事が、向こうの廊下にいるお猿さんにバレたら、貴様らただじゃ済まねえぞ。あの王って奴は勿論、お前だって命はねえだろうよ》
(そ、それは・・・あ、んン、主様は・・・私はどうなっても、い、いいです、主様だけは・・・)
豚男は唇を当てていた慧姑の首筋から、舌で性感帯の道筋を辿るように、ジリジリと頭を下にずらしていった。
乳房を弄(まさぐ)っていた手を下に降ろして、片脚を抱え上げる。