美苦尼・玄娘〜恥辱の西遊記 第52話

トップメニュー51話へ53話へ

しかしそのような事、悟空に言えるはずもない。
玄娘は、悟空に言えない事を数え上げて言うべき言葉を探した。そうして、口をついて出た言葉を、そのまま口にする。

「き、経を・・・教えを、いただいていました」

「摩訶般若波羅蜜多心経って奴ですかい」

驚いて悟空の顔を見詰める。

「いや、今さっき、あの坊さんに聞いたんですけどね」

一体どこまで聞いたというのか。思わず身体が烏巣禅師の方を見ようとする。だが恥ずかしくて、それも出来ない。
心と身体が互いに引き合ってキーキーと軋むようだった。

そんな玄娘に、烏巣禅師が視線をねっとりと絡みつかせて

「それでは、西への道行きを教えてやろうかの。まあ、一度しか言わぬから、よおく聞いておれよ」

と言えば、その声に感応したように玄娘の身体がビクリと震え、顔はますます紅潮する。

烏巣禅師は七言の四行詩を詠んだ。

庵主は屋根の下でどしゃぶり
盲猿、虎と出くわし、さまようばかりで役にもたたぬ
山中にて杭をはさみ、腰を振る事八万回
エロ豚と水妖が道を開く

言い終わるか終わらぬ内に、悟空が如意棒を振り回して烏巣禅師のいた場所に打ちかかった。

「悟空さん!」

ハッとして玄娘、顔を上げ、厳しい声で悟空を呼んだ。

如意棒は地面を打って、土の飛沫を跳ね上げていた。
烏巣禅師はすでに樹上に駆け上っていたのだ。

「お師匠様、わからなかったんですかい?あのエロ坊主、お師匠様の事をジロジロいやらしい目で見やがって、おまけに俺達の事をバカにするような事言いやがったんですよ」

「だ、だからと言って、そんなもので叩いたら死んでしまいます」

「お師匠様だって、あいつの言った事がどういう意味かわかったら、そんな事、言ってられないはずですぜ」

「どういう意味だというんですか?」

悟空はプイと横を向いて、烏巣禅師の逃げ込んだ樹の根元に歩み寄った。

そんな破廉恥な事、言えるはずないじゃないか。

急激に顔に血の気が上がってくるのを感じていた。
もっとも、猿の顔はもともと赤いので、少々血が上ってきてもなかなか分かりづらい。

烏巣禅師の隠れた枝葉の茂みを突付き回してやろうと、如意棒を伸ばした。
しかしすぐに悟空は、信じられない思いに駆られる。

クルクルと振り回してみて、そんなバカなと呟いた。

棒の先がどこにも当たらないのだ。
これは、如意棒がまだ、一番近くの枝葉にすら届いていない事を示す。
その樹はたしかに抜きんでて背が高かったが、雲を掻き回すほどの高さにまで伸びる如意棒である。
届かないなどという事は考えられないのだ。

「兄貴、ムリムリ。無理だって。この木には烏巣禅師が術を掛けているんだ。高いとか低いとかとは全然別のレベルで届かないんだから、兄貴のその自慢の棒がたとえお釈迦様の手の平より長くったって無駄というもんさ」

「ちッ」

八戒に諌(いさ)められて悟空の虫の居所はますます悪くなったが、バカモノの口にする一片の真理に耳も貸せないような度量の狭い悟空でもなかった。
渋々ながら、如意棒を収める。

三人・・・一人と猿豚馬の三頭は、交わす言葉もなく立ちあがった。
とりあえず、先に進まなくてはいけないのだ。

その時、玄娘は自分の股間がひどく恥ずかしい状態になっている事に気付いた。
漏らしたようにびしょ濡れなのだ。
特に秘所のところは溝に挟み込まれて肌に張り付き、外からでもその様子がほんのりわかりそうなほどだ。
手にしていた九環の錫杖(しゃくじょう)を前に回して、それとなく隠すようにしたが、顔から火が出そうになるほど恥ずかしい。
とても馬に乗ることなど出来ないと思った。

馬に乗るには、股を開かねばならないのだ。

トップメニュー51話へ53話へ

動画 アダルト動画 ライブチャット