美苦尼・玄娘〜恥辱の西遊記 第51話

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八戒にも、玄娘がイッた事がわかった。
玄娘の身体が、腰を持ち上げるようにして弓なりに反り返り、ビクッビクッと激しく痙攣したのだ。
ズボンの中にでも精をぶちまけたい衝動に駆られるほどいきり勃っていた八戒だったが、慌てて手を退けて、玄娘の身繕いを整えた。

玄娘の魂魄が戻ってきた時に、自分が玄娘の身体にイタズラしていた事がバレてしまってはややこしい。
烏巣禅師の尸解禁呪(しかいきんじゅ)の術は、気をやると術がとけるのだ。

「おい、悟空よ」

唐突に烏巣禅師が呟いた。悟空はハッとして振り向く。
それから玄娘の方を見た。玄娘はまだ目を覚ましていない。

「玄娘に摩訶般若波羅蜜多心経を授けた。たとえ何が起ころうと、この尼さんを守ってゆけよ」
「んなこたぁ、言われるまでもねえなぁ。それより貴様、お師匠様と何をしてたんだ。マカハンニャハラミッタシンギョウってなあ、そんなになっげぇお経なんか?」
烏巣禅師に詰め寄る。ケンカして勝ち目があるのかないのか、とりあえずケンカしてみてから判断するという不死身癖がまだ抜けないのだ。

烏巣禅師は薄く笑って
「いや、短いぞ。まあこれほど短い経もそうあるまい。わずか262文字ほどじゃ。じゃが内容は底無しに濃いぞ。その濃い事、子種の如しじゃ」

子種と聞いて八戒、急に興味をそそられる。

「子種か。然り。ワシの子種は格別に濃いぞ!」

「バカモノが。そういう意味じゃないわい。子種は芥子粒よりまだ小さいくせに、時とともに成長して人間になったり豚になったりするじゃろが。それはまた、善い事も悪い事もそこから生ずるという事でもあるのじゃ。その全てが、子種には詰まっておる。底無しに濃いとはそういう事じゃ」

「なるほど。そんなありがたいお経なら、一つみどもにもご教授願えませんかね」

「フン。人に教えを乞う態度ではないな。それに、貴様のような智慧の浅いお猿さんに摩訶般若波羅蜜多心経など教えたら、どんな災いを引き起こすか知れたものではないわい。だが、そうじゃな。一つだけ教えといてやろう。ほれ、さっきワシが言うたであろう。たとえ何が起こっても、この尼さんを守って行けよとな。お主にもわかるように具体的に言えば、まあそういう事よ」

悟空は「ちッ」と舌打ちを打つ。
バカにしたものの言い方をしやがって、いけすかねえジジイだ。

一発殴ってやろうかとも思ったが、玄娘が身体を起こす気配がしたので、悟空は思い止まった。
振り返ると、八戒の手に助けられて身体を起した玄娘が、ぼうっとした表情で座っている。

駆け寄って八戒の手を蹴り上げた。

「やたらに触るんじゃねえよ、エロ豚。大丈夫ですか、お師匠様」

玄娘の反応は鈍い。
しばらく視線を宙に彷徨(さまよ)わせてから、悟空の肩越しに烏巣禅師の姿を見つけ、ハッとして顔を背けた。

心臓がドキドキと高鳴り、顔が赤くなる。
せっかく恥獄の淵から現(うつつ)にようやく浮かび上がってきたというのに、身体はまだ淫鬼の責めの余韻を拭い去る事が出来ず、ピリピリと神経の先を尖らしているようだ。

切ない思いが蘇る。
身体が、悟空の存在に直接触れる事を欲っしていた。

今なら、悟空に襲われても抵抗などしやしないだろう。
いや、それどころかもし今、八戒も烏巣禅師もいなくて悟空と二人っきりだったのなら、玄娘は自らすがりついていくのを止める事は出来なかったかも知れない。

「お師匠様?どうかしましたかね。なんだか様子がおかしいですぜ。一体何をしてたんです?」

悟空の問いに、玄娘は潤む瞳で悟空を見た。

何をしていたのだろう。
烏巣禅師に淫ら事をされる夢を見せられていた。

夢・・・と言っていいのだろうか。

それが烏巣禅師の術で見せられたものである事は、はっきりとわかっている。
印象だけが残って、具体的ないちいちの内容がはっきり思い出せない所は、まるきり夢と同じなのだが、心の中に、他人の意思が割り込んでくるような違和感が残っている所が、通常の夢とはまるで違う。
その、割り込んできた意思こそが、烏巣禅師のものだった。

それだけに、肌に刻み込まれた快感の記憶が汚らわしく、また忌々(いまいま)しい。

玄娘は、悟空に抱きしめられたかった。
悟空に抱かれれば、玄娘はこの身に残るそれらの記憶を拭い去る事が出来るような気がするのだ。

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