美苦尼・玄娘〜恥辱の西遊記 第40話
しかし、その乳房は実際には初対面のいやらしい老人にいいように弄ばれ、形をさまざまに変えているのだった。
見えないとはいえ愛しい人の目の前で、嫌悪すべき老人に嬲られ感じているこの身体が恨めしい。
「兄貴、何してるんだい。そんな事したってどこにいるかわかるわけがないだろう」
と八戒。
言われて悟空も、仕方なく手を引っ込めるが、なんとか玄娘の気配だけでも感じられないかとでもいうように、八戒に悟られないよう、目を凝らす。
八戒は八戒で、悟空に知られないように後退(あとずさ)りし、背筋をただしてキチンと座っている玄娘の身体の傍に近寄っていく。
八戒にとってこんなチャンスは滅多にない。
チラリと横目で胸の膨らみを確認し、あとは悟空の背中を監視しながら、手を伸ばす。
「んあああっ!」
突然に豊乳を襲った確かな指の感触に、玄娘は声を上げ、本体の方の玄娘の身体もビクリと反応した。
衣の上からではあったが、生身の身体に加えられた百戦練磨の八戒の淫らな指使いは、それほどまでに巧みであったのだ。
「ほっほっほ。いくら気持ちいいからって、あんまり暴れると身体の方まで一緒に反応して、ジジイといやらしい事をしてるのが大好きな悟空にばれてしまうぞ」
烏巣禅師のからかう言葉に、身体の芯がゾクリと反応した。
奥からトロトロと恥ずかしい液が漏れ出てきてしまう。
すでに自分の中では明白な悟空への気持ちだったが、他人の口からあらためて指摘されると、それは鮮烈な刺激となった。
色情に溢れんばかりの今の玄娘には、直接、官能に繋がってしまう。
しかし、乳房に感じるこのダイレクトな快感が、八戒の手管である事は、玄娘にはわからなかった。
八戒が玄娘の身体にイタズラをしかけているのは、玄娘には見えない。それが悟空の背後になっているから、というだけでなく、玄娘がこの恥辱の試練の最中(さなか)で見ているのは、悟空の姿だけなのだ。
八戒の不埒な行為は、烏巣(うそう)禅師の方から見ると、ほとんど背後というような位置になっていて、視界には入らなかった。
だが、禅師には、気配だけで背後の事でもみなわかってしまうのだ。
禅師は豚がまさぐっている胸を避けて
「どれ、お尻も気持ち良くなれるようにしといてやろうかの」
と、玄娘を後ろに突き倒すようにした。
「あ、やっ!」
肘までしかない腕と膝までの太股の女体がコロンと転がる。
ジタバタ抵抗のような事もするが、何の意味もない。
と、玄娘は尻だけを禅師の胡座(あぐら)に預けた格好で仰向けにされてしまう。
それから脚を両手に掴まれ、手繰(たぐ)り寄せられて、逆さの格好に抱きすくめられた。
尻の方から禅師の顔が、脚の間に割り込んでくる。
「おお、ピンクじゃ。きれいな色のケツの穴じゃのお」
「んくうぅぅ・・ふん・・・は、んんっ」
胸がグニュグニュ揉まれて声を押さえ込むことすら時々忘れがちになりつつある所へ、肛門に禅師の唇の気配が近接した。
「あ、そ、そんなところ・・・はふぅっ・・・!」
熱い息とともにヌメる舌の微かな感触が、肛門の輪を何度も何度もなぞる。
なぞられた所から、ジクジクと疼きが高まっていく。
脚を閉じる事も出来ず、男の頭を股間に挟んでいる自分の姿が、気が遠くなるほど恥ずかしい。
悟空はそんな玄娘の周囲をウロウロして回り、玄娘の羞恥を更に煽った。
もちろん図っての事であるはずもないが、玄娘にしてみれば、まるで悟空に破廉恥な行為を目撃されているような気持ちになってしまう。
錯覚とわかってはいても、そう感じてしまうのを止める事はできないのだ。
時に思いっきり顔を近づけ、日の下にヌメ光る淫裂を覗き込まれたような格好になると、ヒクヒクと媚肉が蠢き、キュウンと切ない快感が生じて、烏巣禅師を悦ばせるいやらしい液がジュクジュクと媚肉の狭間から滲み出る。
悟空の身体が自分の身体を突き抜け、悟空の腰と自分の腰が交わった所で立ち止まったりなどすると、玄娘の破廉恥な錯覚は留めようもなく膨れ上がって、息苦しいほど胸が高鳴りこのまま地獄に落ちてもいいから、ずっとこの悪夢が続いて欲しいとさえ思ってしまうのだ。